ラボグロウンダイヤモンドは業界では依然としてタブー視されているか?

一部のジュエラーは業界からの反発を避けるため、ラボグロウンダイヤモンドの販売を控えている。

ラボグロウンダイヤモンドは過去5年間で業界全体で着実に勢いを増している。米国のウエディングウェブサイトThe Knotによる2021年の調査では、その年に米国で購入された婚約指輪のほぼ4分の1がラボグロウンダイヤモンドを使用しており、2019年から11%増加していると発表している。

最近のクリスマスシーズンにラパポートニュースに話した独立系小売店の中には、ラボグロウンダイヤモンドがブライダルジュエリーの半数以上を占めていると考えている人もいた。しかし一方で、業界の多くの人はまだそれらを在庫として持ったりすることを躊躇したり、または在庫を持っていることを公表しようとしない。多くの小売店は、ラボグロウンダイヤモンドの販売が強いと言う理由で在庫を持つが、それには一種の居心地の悪さを伴うという。問題は、ラボグロウンダイヤモンドは依然として天然ダイヤモンド業界でタブー視されているのか?と言うことだ。

隠された宝石

ラパポートニュースがインタビューしたジュエラーのうち2つは、ラボグロウンダイヤモンドを扱っていることが記録に残るようなインタビューについて拒否したという。どちらのジュエラーも、ラボグロウンダイヤモンドを店頭で見えないようにしており、顧客がそれについて尋ねたときに出してきて見せるのだという。

「私の店のダイヤモンドの卸商を含め、この業界には多くの人がいますが、彼らはラボグロウンダイヤモンドを販売するということを本当に軽視しています。」と、メリーランド州に拠点を置くあるジュエラーは名前を伏せて述べた。「一部のダイヤモンドディーラーには、私がラボグロウンダイヤモンドを販売していることを知られたくありません。彼らのうちの何人かは、ラボグロウンダイヤモンド業界に非常に腹を立てており、それは偽物だと考えている人がいるからです。。。私は顧客が求めるものを販売しているだけですが、それを顧客に尋ねられるまでは隠してあります。」

アイダホ州のジュエラーも、隠れてラボグロウンダイヤモンドを取り扱っている。彼は、顧客が具体的にラボグロウンダイヤモンドの製品を要求しない限り、それが在庫されていることを隠している。彼はまた、仲間のジュエラーからの反応についても心配しているという。

マサチューセッツ州ウースターにあるMaria’s Fine Jewelryのオーナーであるマリア・ブドゥオは、業界の他の人からの反発を恐れていないものの、ラボグロウンダイヤモンドのジュエリーを提供し始めるまでにはしばらく時間が必要だったと述べる。「ラボグロウンダイヤモンドを理解するのに苦労しました。」と彼女は言う。「でも、それはお客様が求めているものです。私は彼らを失いたくありません。それが彼らが望むものなら、それを私たちは販売します。」と説明する。

供給元からの評判

一部のジュエラーがラボグロウンダイヤモンドの販売をためらう理由は様々だ。仲間のジュエラーからの評判を恐れる人もいれば、ディーラーからの評判を恐れる人もいる。

メリーランド州ロックビルにある Leslie E. Sandler Fine Jewelry のオーナーであるレスリー・サンドラーは「私はラボグロウンダイヤモンドの供給について、私の天然ダイヤモンドのサプライヤーと話すことはありません。」と述べる。彼女は以前ラボグロウンダイヤモンドに関してサプライヤーと不快な経験をしたことがあるからだという。「私たちはサプライヤーとの関係を維持する必要があり、あなたは(サプライヤーがどう感じるかについて)敏感でなければなりません。」と指摘する。

イリノイ州ロックフォードにあるClodius&Co. Jewelersのオーナーであるマーク・クロディウスもそれに同意する。「天然ダイヤモンドの卸売業者から、どうして注文がないのかという電話が常にかかってきます。」と彼は言う。「在庫の天然ダイヤモンドを減らし、ラボグロウンダイヤモンドを増やしているからだと説明すると、彼らは『ラボグロウンダイヤモンドを売るべきではない』と言います。そのうちの一人は『あなたのしていることは良くないことだ』と言って私を怒らせたこともあります。」と述べる。

クロディウスはまた、カリフォルニアから訪れた友人とその息子の話を説明した。その友人の息子はガールフレンドにプロポーズするためにダイヤモンドの婚約指輪を探していたが、サンフランシスコのジュエラーを尋ねた際に、そのジュエラーがラボグロウンダイヤモンドを執拗に否定し、天然ダイヤモンドを購入するように強く彼に迫ったため、友人の息子は非常に不快感を覚えたという。

ある2つのラボグロウンダイヤモンドの売り手によると、ラボグロウンダイヤモンドに対する抵抗のもう一つの要因は、26,000人メンバーを持つ影響力のあるFacebookグループ”Jewelers Helping Jewelers”(JHJ)だという。このページは2019年にラボグロウンダイヤモンドの販売を禁止し、ラボグロウンダイヤモンドに対しての議論は許可されているがそれはしばしば否定的な反応を引き起こすという。

「私のネットワークでは、ただ1つを除いて何のルールもありません。ただラボグロウンダイヤモンドを販売することはできません。」と、JHJを運営するアリア・アルンデールは言う。「(ネットワークの中で)ラボグロウンダイヤモンドについて好きなことを話すことができます。ラボグロウンダイヤモンドが全世界で最高のものだと話すこともできますが、それを販売することだけはできません。」

しかし、ラボグロウンダイヤモンドについて(ネットで)話すことはジュエラーにとって難しい状況を招くことがある。アイダホに本拠を置くあるジュエラーは別の友人のジュエラーを例として挙げている。彼は、ラボグロウンダイヤモンドの導入について投稿しただけで炎上したという。彼はそれ以降数週間投稿できなかったという。

「JHJをいつも見ています。」とレスリー・サンドラーは言い、そこで誰かがラボグロウンダイヤモンドについて何か投稿するとグループのメンバーは(その議論に)「夢中になる」と説明した。

国際グロウンダイヤモンド協会(IGDA)の会長、ジョアンナ・パーク・トンクスは、ラボグロウンダイヤモンドに反対している人々の考えを変えることは不可能だと考えており、また彼女はそうしたいとも思っていない。「ラボグロウンダイヤモンドを否定する人々にとっては、それは大きくて体系的なハードルです。それらの人々はその意見に固執していると思いますし、そしてあなたがどんなビジネスをしていたとしてもそれは勝てない難しいゲームです。」と彼女は言う。

進行中の戦い

「私の仕事は、長期的に取引を監視することです。」とJHJのアランデールは述べ、彼女のFacebookグループがラボグロウンダイヤモンド業界に害を及ぼしても構わないと認めている。「天然ダイヤモンドの要点は、それが価値のあるもの、コミットメントを示すもの、つまり「愛を象徴する」と言うことです。だから、あなたが価値のないものを取り扱い始めているなら、業界の価値が低下します。その業界はすぐになくなるでしょう。本物のダイヤモンドに接する機会を得る前に人々がラボグロウンダイヤモンドに走ってほしくないだけです。」と彼女は述べる。

アルンデールは、「我々がまだラボグロウンダイヤモンドについて何かしらの汚名を着せておけることを喜んでいます。天然ダイヤモンドのために立ち上がる声がまだ更に必要だと感じています。」と述べる。

ラボグロウンダイヤモンドが天然ダイヤモンドのビジネスを奪うという懸念は正当で双方が認識している事実だが、この争いの一部は報復的な状況となっており、双方が自分自身をより魅力的に見せるために相手を批判している。

「彼ら(ラボグロウンダイヤモンド側)が先にそれを始めた」とアランデールは半分冗談で指摘する。「彼らは、ラボグロウンダイヤモンドダイヤモンドはグリーン(エコ・エシカル)で、天然ダイヤモンドはそうではないと宣伝しました。彼らはブラッドダイヤモンド(紛争ダイヤモンド)問題を持ち出しました。」と説明する。

真剣な文脈として彼女は、天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドの両方のコミュニティが剣を置く必要があると考えている。IGDAの会長、パーク・トンクスはこれに同意する。「これはやや古くからの議論ですが、対話は前進していると思います。私たちは平和的な共存に向かっていると思います。そして、私たちがそれを達成する方法は、双方が相手に敬意を払い、他方を中傷しないことです。」と述べる。

現実を受け入れる

「時間が経つにつれて、この反発はますます少なくなると思います。」とIGDAのパーク・トンクスは述べ、次のように強調する。「なぜなら大企業が道を切り開いているからです…そして、あなたがそれらを好きか嫌いかに関係なく、ラボラトリー グロウンダイヤモンドは市場を開き続けます。」

しかし、まだ現在ではその争いは残っており、多くのジュエラーにとってラボグロウンダイヤモンドを扱うことは受け入れられていない。

サンドラーは当初、ラボグロウンダイヤモンドの販売に反対していたと言う。彼女は在庫を持たず、必要なときにのみメモ(委託)で注文していた。「私はこれらの顧客が他の誰かからラボグロウンダイヤモンドを買うつもりだったことに気づいたので、私からそれを買うかもしれないと考えました。」と彼女は認める。「私はそれらを取り扱いたくなかったが、その売上げを失っていました。しかし私自身ラボグロウンダイヤモンドにあまり愛着があるわけではありません。自分の息子にはそれを売らないでしょう。」と付け加えた。

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