ダイヤモンドをスキャンし鑑別する新しいデバイスは、ラボグロウンダイヤモンドを確実かつ正確に識別するために大きな進化を遂げている。
市場に多くのラボグロウンダイヤモンド検出デバイスが存在する中、メーカーは様々な問題を解決し、ギャップを埋め、人工知能（AI）を導入することで自社製品を差別化している。
ダイヤモンドスクリーニング技術
De Beers Group IgniteのデバイスであるAMSMicroは、0.001ctほどのメレダイヤモンドを自動的にスクリーニングするように設計されており、タッチスクリーンインターフェイスを通じて結果がリアルタイムで得られる。このデバイスは、直径0.6～0.9mmの範囲のサイズのダイヤモンドを１時間あたり平均2,200個スクリーニングすることができ、メレサイズのパーセルの検査にかかる時間とコストを大幅に削減する。
正確な結果を得るため、AMSMicroは「独自のアルゴリズムと並行して、蛍光、燐光イメージング、フォトルミネッセンス分光法などの技術を組み合わせ、使用しています。」とDe Beers Group Igniteの製品グループマネージャーであるトレバー・ポールターは述べている。
ブロックチェーンの活用
この分野のデバイスはAMSMicroだけではない。昨年５月、アントワープに本拠を置くテクノロジー企業であるデリメックス（Delimex）は、ブロックチェーン機能を備えた最初のデバイスであると彼らが述べるラボグロウンダイヤモンド検出デバイス「Hera」を発売した。
このデバイスは、ジュエリーとしてセットされているダイヤモンドとルースダイヤモンド（裸石）の両方を識別でき、ジュエリー製造時にダイヤモンドをチェックできるため、ジュエリーや時計の大量生産プロセスに簡単に導入させられると同社は当時説明した。またブロックチェーンを使用し、Heraは各ダイヤモンドのスクリーニング結果を自動的にクラウドにアップロードする。
「（検査されていたとしても）ダイヤモンドのルースのパーセル（小包）が、ジュエリーの製造段階に入る前に入れ替えられる可能性があります。市場に出ているスクリーニングおよび検出デバイスはダイヤモンド卸売業者向けのものですが、Heraは顧客や最終消費者にトレーサビリティと完全な透明性を提供したいと考えているジュエリー製造会社向けの自動デバイスです。」と同社最高科学責任者のアンス・アンソニーは述べている。
AIの活躍
市場の他のプレイヤーは、AIと機械学習アルゴリズムを利用してデバイスの精度を向上させているイタリアのヴェローナに拠点を置くDiaTechPro（DTP）は、直径0.5mm以上のルースダイヤモンドと、ジュエリーにセッティングされたダイヤモンドの両方をテストするためのDiaSynthデバイスを昨年７月に発売した。これには、紫外線誘起可視蛍光（UVIVF）写真として知られる技術が使用されており、DTPの最高経営責任者であるマルコ・パスクアリーニによると、天然ダイヤモンド、ラボグロウンダイヤモンド、模造石の「分類プロセスを容易にする」独自のAI が搭載されているという。
「AIが検査プラットフォーム上の宝石、またはジュエリーに取り付けられた宝石を検出すると、カメラを使用して蛍光と燐光を捕捉し、検査された宝石ごとに130の特徴を抽出して分類を実行します。」と彼は説明する。結果は画面上にはっきりと表示される。ユーザーは写真を自分で分析し判断する必要はない。「同じ量の情報を処理し、数秒以内に同じ結論に達することのできるオペレーター（人間）は存在しません。AIは正確で再現性のある高速データ分析の鍵となります。」と同氏は付け加える。
同様に、DRC Indiaは昨年５月に発売したGuardianデバイスでAIを使用している。これは高さを調整できる広いスキャン領域を備えており、高さのあるジュエリーや、最大100ctsのルースダイヤモンドを検査できる。「当社のAIシステムは、高度なUVと組み合わせた産業用デジタルカメラのデータを活用し、特定のUV光条件下でのダイヤモンドの状態を捕捉します。」とCEOのハルディック・パテルは述べている。
DRC Indiaはダイヤモンド産業の世界中心地であるインドのスーラトに拠点を置いているため、宝石研究所や製造業者とデータ共有ができるという恩恵を受けている。これにより機械学習機能が強化されている。「何か新しいものを見つけた場合、それらのダイヤモンドの特性を記録し、AIライブラリに追加します。AIライブラリには、ラボグロウンダイヤモンドを自動的に検出するための数千のレコードがすでに含まれています。」とパテルは述べている。
メレサイズのダイヤモンドに重点を置くか、最新のコンピューティング技術を使用するか、いずれにかかわらず、デバイスメーカーは独創的な方法でラボグロウンダイヤモンドの鑑別に取り組み続けている。
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