ジュエリー業界はラボグロウンダイヤモンドと天然ダイヤモンドが敵対するのをやめ、それぞれが互いに補完し合う方法について考え始めるべきだと、Rosy Blue(ロージィ・ブルー)の名誉会長であるディリップ・メータは語った。これはインドの宝石ジュエリー輸出促進協議会(GJEPC)の最近の会議での発言だった。
「ラボグロウンダイヤモンドが、何世紀にもわたって業界の屋台骨となってきた天然ダイヤモンドに影を落とすのではないかという懸念がある。」と、ムンバイで開催された”Innov8 Talks”イベントの基調講演でメータは述べた。「これはどちらかが勝ち、どちらかが負けるというゼロサムゲームではなく、一緒に市場を拡大する素晴らしい機会があると信じています。」と同氏は述べた。
「真実は、天然ダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンドはどちらも独自の価値をもたらし、一緒に活用すれば、互いに補完し合い、ジュエリー市場全体の成長に貢献できるということです。」と、同氏は続けた。「ラボグロウンダイヤモンドの台頭は、天然ダイヤモンドの衰退を意味するものではありません。それは、消費者のニーズを満たすためのツールキットがさらに増えたことを意味します。」と述べた。
またメータは、飛行機の発明がボートビジネスにどのような影響を与えたかを考えるよう参加者に促した。「飛行機が発明されたとき、多くの人はボートは時代遅れになると考えました。確かに、飛行機による旅行は長距離旅行のメインになりました。しかし、ボートは消えていません。ボートはビジネスを豪華クルーズに変え、飛行機では決して提供できない体験を提供しています。」と述べた。
そして「ラボグロウンダイヤモンドは特定の消費者ニーズを満たすものになり、天然ダイヤモンドも、伝統、希少性、感情的なつながりなどユニークなものを提供することができます。」と指摘した。
またメータはスマートウォッチの例えも挙げ、「数年前Appleがスマートウォッチを導入したとき、業界は非常に神経質になりました。」と述べた。「Appleはアクセサリー市場の一部のシェアを取ったかもしれませんが、ジュエリー市場への影響は最小限でした。ジュエリーは、どんなに洗練されたスマートウォッチでも代替できない、個人の表現げであり、ラグジュアリーの象徴であり続けています。」と説明した。
「今回の経験から、新しいイノベーションは物事を揺るがす可能性があるが、真に時代を超越した製品への需要をなくすことは滅多に起こらず、消費者の欲求を満たすために人々がより革新的になることを余儀なくされるということがわかります。」と述べた。
また同氏は、ラボグロウンダイヤモンドを「デザイナーの夢」と表現した。
「(ラボグロウンダイヤモンドはデザインへ)柔軟性と創造性を提供し、デザイナーが既成概念にとらわれずに考え、エキサイティングな新製品を生み出すことを可能にします。」と同氏は述べ「このイノベーションは脅威ではなく、業界を強化し、その魅力を広げる機会になるものだと見なすべきです。」と説明した。
一方で同氏はラボグロウンダイヤモンドの生産者に対して「時には、少ない方が豊か(Less is more)」であることを忘れてはならないと警告した。
「最大を目指し、競争相手を追い抜こうとするのは自然なことです。しかし持続可能性についても考えなければなりません。長続きするビジネスを構築するには、どんな犠牲を払ってでも市場を支配しようとするのではなく、業界のエコシステムを尊重する必要があります。バランスのとれたアプローチにより、数十年にわたって私たちが築いてきた繊細なバランスを崩すことなく、ラボグロウンダイヤモンドが業界にプラスの影響を与えることが保証されるでしょう。」と述べた。
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