
インド政府は、ラボグロウンダイヤモンドの製造に不可欠な「種結晶(シード)」の輸入関税を撤廃し、一部の貴金属に対する関税も引き下げた。これにより、インド国内の宝飾産業がさらに活性化し、国際市場における競争力が高まることが期待される。
ニルマラ・シタラマン財務相が発表した2025-2026年度予算によると、ラボグロウンダイヤモンドの種結晶を輸入する際の関税が免除される。この措置は2026年3月まで適用される予定であり、インド宝飾業界、特にラボグロウンダイヤモンド業界にとって大きな追い風となる。インドの宝飾品輸出促進協議会(GJEPC)の会長を務めるヴィプル・シャーは、「この政策はラボグロウンダイヤモンド製造業にとって大きな支援となる」と述べた。

また、インド政府は貴金属製品の関税も見直した。ジュエリーやその部品、金細工・銀細工の製品に対する税率を従来の25%から20%に引き下げ、プラチナに関しては25%から6.4%へと大幅に減税した。シャーは、「政府が関税を安定的に管理することで、宝飾品業界のビジネス環境が改善される。消費者にとっても新たな選択肢が増え、手頃な価格でジュエリーを購入できるようになる」と評価した。
一方、GJEPCは政府に対し、ダイヤモンドの販促活動への支援やジュエリーパークの整備を優先するよう要請している。また、インド・ジャイプールにおける宝石取引市場の開発資金の確保を求めている。
シャーはさらに、「政府には、国際基準に合致した規制の整備、輸出促進策の導入、技術革新の推進、持続可能な取り組みへのインセンティブ提供を期待している」と述べた。
今後、インドでのラボグロウンダイヤモンドの製造コストの低下により価格競争力が高まることが予想され、日本市場でもラボグロウンダイヤモンドの価格が下がる可能性がある。新たな局面に置かれた世界的な市場の中で、日本のジュエリー業界も新たな市場戦略の構築を迫られることになりそうだ。
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