
市場低迷が続く中、アングロ・アメリカンは売却手続きを継続
デビアスの親会社であるアングロ・アメリカンは、2026年第2四半期(4~6月)の原石ダイヤモンド販売実績を公表し、販売額が前年同期比44%減の6億6,500万ドルとなったことを明らかにした。天然ダイヤモンド市場の低迷が続く中、同社はデビアス事業の売却手続きを進めるとともに、コスト削減と設備投資の抑制を進める方針を示している。
販売額は44%減、平均単価も37%下落
2026年第2四半期の原石販売量は710万カラット(連結ベースでは600万カラット)となり、3回のサイト(定期販売)を通じて販売された。
一方、平均販売価格は1カラット当たり110ドルとなり、前年同期比で37%下落した。販売額は6億6,500万ドルまで落ち込み、市場環境の厳しさが改めて浮き彫りとなった。アングロ・アメリカンは、2026年上半期についてもデビアスが赤字決算となる見通しであり、市場環境は依然として「厳しい(challenging)」と評価している。
生産量は88%増加
販売が低迷する一方、生産量は前年同期比88%増の780万カラットとなった。これは前年にボツワナ・オラパ鉱山で長期間のメンテナンス停止が実施されていた反動に加え、ボツワナのジュワネン鉱山およびカナダのガチョ・クエ鉱山で高品位鉱石の採掘を計画的に進めたことが主な要因だ。
ただし、2026年後半にはオラパ鉱山とジュワネン鉱山で再び設備保守が予定されており、生産量は現在の水準から大きく減少する見込みだという。年間生産計画については、従来どおり2,100万~2,600万カラットを維持している。
デビアス売却を進めるアングロ・アメリカン
アングロ・アメリカンは現在、事業再編の一環としてデビアスの売却を進めている。
同社のダンカン・ワンブラッドCEOは、生産コストの削減や設備投資の見直しを並行して進めることで、市場低迷による影響を最小限に抑える考えを示した。
デビアスは長年にわたりアングロ・アメリカンの主要事業の一つであったが、天然ダイヤモンド市場の長期低迷を受け、同社は事業ポートフォリオの見直しを進めている。売却先や取引条件については現時点で公表されていない。
地政学リスクとラボグロウンダイヤモンドが需要を圧迫
ワンブラッドCEOは、市場環境が厳しい要因として、中東情勢をはじめとする地政学的リスクや世界経済の不透明感を挙げた。
さらに、ラボグロウンダイヤモンド(LGD)の普及が、特に価格帯の低い天然ダイヤモンドの需要を引き続き押し下げているとの認識を示している。
一方で、高価格帯の天然ダイヤモンドについては比較的堅調な価格推移が続いており、市場全体の平均価格指数は概ね安定しているという。つまり、市場の二極化が一段と進行している。
高価格帯と低価格帯で鮮明になる市場の分断
今回の決算は、天然ダイヤモンド市場が依然として回復途上にあることを示している。
低価格帯では、消費者の価格志向やラボグロウンダイヤモンドとの競争が続き、価格・販売量ともに厳しい状況が続く。一方、高品質・高価格帯の商品は比較的安定した需要を維持しており、市場全体として価格帯による明暗がより鮮明になっている。
また、アングロ・アメリカンがデビアスの売却を継続していることから、天然ダイヤモンド業界最大手の将来像にも引き続き注目が集まる。市場回復の時期や新たなオーナーの戦略は、今後の天然ダイヤモンド産業全体の方向性を左右する重要な要素となりそうだ。




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