国際ダイヤモンド業界市場最新動向 22.06.19[RAPAPORT]

JCKラスベガスショー以降市場ムードは良好。ショーは多くの来場者が訪れた。高い収益性だった2021年以降に商品が動いている小売業者は、2022年のホリデーシーズンに向けて積極的な仕入れ。

マスターカードの調査によると、5月の米国のジュエリー販売は+22%となった。ハイエンドの市場は堅調。インフレと株式市場の低迷に対するヘッジとしてダイヤモンドを購入している消費者もいる。連邦政府が金利を0.75%引き上げたため、多くの人が生活費の上昇を懸念している。

アルロサ(ロシア)のダイヤモンドは制裁を受けている状況で、いくつかの工場に商品は輸出されている。これが市場にとってどのような影響を与えるかについては不確実性が高い。デビアスのサイトの後、ダイヤモンド原石の取引は緩やか。

周大福(香港)は、4月と5月の売上高が-13%であり、短期的には中国経済に慎重な姿勢。
ブルーナイル(米国)は8.73億ドルの評価で株式公開を予定。
LVMH(フランス)は、ラボグロウンダイヤモンド生産者であるLUSIX(イスラエル)へ投資を実行。

ファンシーシェイプ

市場は安定傾向にあり、供給不足が価格を支持している。1.20〜3.99ct、F-J、VS-SIが最も需要が高い。オーバルを筆頭に、エメラルド、ペア、クッション、マーキスがそれに続く。消費者が様々なシェイプを求めているので小売店はより幅広いシェイプを取り扱い始めている。ファンシーシェイプダイヤモンドを使用したエンゲージメントリングへの関心が高まっている。大きなサイズのファンシーシェイプに関しては通常よりも高い価格で取引されており、エクセレントカットのファンシーシェイプにはプレミアム価格が設定されている。カットの優れないファンシーシェイプは依然として販売が困難。

米国

JCKラスベガスショーの後、業者は2022年の後半に楽観的な見通しを見出した。大量の在庫を持つサプライヤーとメモハウス(委託販売業社)JCKショーで大きな成果を見せた。大粒ダイヤモンドと高級ジュエリーラインも良い成果を上げている。インフレ懸念にもかかわらず、小売マーケットのムードはポジティブ。中高所得世帯の消費者は衣料品の購入、及びパンデミック明けの旅行に意欲的。ブライダルカテゴリーでは夏の結婚式シーズンの好調なビジネスを期待している。

ベルギー

ポリッシュダイヤモンドの需要は安定しているが、在庫レベルが下がるにつれてハイグレードの商品を見つけるのが困難になってきている。ロシアの制裁によって今後予想される在庫不足に先んじて、サプライヤーは安定した価格を維持しようとしている。時期的に取引量が少なく、また慎重な経済見通しの中で割引が増加している。先週のデビアスのサイトの後、原石取引は落ち着いている。セカンダリーマーケットでのプレミアムは下がっている。

イスラエル

JCKラスベガスショーで多くの業者が離れていたためマーケットは緩やか。希望している商品は期待より高額だったため失望しているバイヤーが多い。2〜3ct、G-J、VS-SIのファンシーシェイプとラウンドが好調。1カラット未満の通常需要の商品に関しては取引が難しく価格が低迷している。イスラエルダイヤモンド取引所は2023年3月27日から30日の国際ダイヤモンドウィーク期間中、世界ダイヤモンド会議を主催。

インド

ポリッシュダイヤモンドの取引は鈍化。株式市場の下落、1ドルあたり78インドルピーという史上最低レート、および市場在庫の減少により、業者は慎重になっている。ロシアの原石に対する制裁措置の影響で工場は稼働率が低下。米国、ドバイ、イスラエルのバイヤーとのビジネスは良好。対中国ビジネスは予想よりも遅くなっている。

中国・香港

パンデミックによる規制が解除され、卸売りと小売りの活動は活発になり、市場ムードは改善。政府の市場刺激策は支出を後押ししている。0.30〜0.80ct、G-H、VS-SI、3Xダイヤモンドの需要が高い。1カラットアップのカテゴリはやや弱い印象。中国本土はパンデミックの発生と封鎖から回復し始めている。Eコマースと大手ブランドは小規模の独立小売店よりも好調に推移している。

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