カップルは天然ダイヤモンドから、より大きく安価なラボグロウンダイヤモンドに移行している[CNN]

米国の大手ニュースメディアであるCNN Businessは、8月19日に「カップルはリングの天然ダイヤモンドを、より大きく安価なラボ製に交換している。(原題:Couples are swapping out natural diamonds in rings for larger, cheaper lab-made ones)」と題した記事を公開している。

米国はラボグロウンダイヤモンドの世界最大の消費国として知られおり、シグネット・ジュエラーズはラボグロウンダイヤモンドのラインナップを拡大している。また、パンドラは8月25日からラボグロウンダイヤモンドのコレクションの北米展開を開始する。その背景に、消費者のラボグロウンダイヤモンドへの関心の高まりがあることは明白だ。ラボグロウンダイヤモンドのマーケットはヨーロッパでも拡大を見せているが、日本を始めとしたアジアでも徐々に広がりを見せており、今後、欧米に追随した消費者意識の変化に伴い米国以外でも大きく需要が拡大することは想像に難くない。

CNN Businessの記事からは米国のラボグロウンダイヤモンド市場の現在を垣間見ることができる。

Ada Diamonds

ラボグロウンダイヤモンドは消費者の間で非常に人気が高まっているため、一部のカップルは宝石店で、リングの天然ダイヤモンドをラボグロウンダイヤモンドに交換するように依頼しているという。

「ちょうど先週、結婚して数年になる3、4組のカップルが我々のところに訪れ、婚約指輪のダイヤモンドをアップグレードしたいと相談しました。」と説明するのは、ニューヨークに本拠を置く、婚約指輪を含むダイヤモンドとジュエリーのオンライン販売業者“Ritani”のCEOであるジョエル・クラインだ。それらの各カップルは、天然ダイヤモンドをより大きなものにアップグレードしたいと考え、ラボグロウンダイヤモンドを選択したという。

「天然ダイヤモンド事業が衰退しているわけではありません。しかし、ラボグロウンダイヤモンドの需要の伸びは非常に強力です。」とクラインは述べる。Ritaniでは昨年、2万件を超える婚約指輪の注文を受けており、天然ダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンドの両方を扱っている。同社は30万点を超えるダイヤモンド在庫を保有しており、そのうちの3分の1はラボグロウンダイヤモンドだという。クラインによると、ラボグロウンダイヤモンドを使用したジュエリーの売上は現在Ritaniの売上の50%以上を占めている。

業界の専門家によると、ラボグロウンダイヤモンドの需要が急増している背景にはいくつかの要因があるという。

ラボグロウンダイヤモンドは天然ダイヤモンドと全く同じように見えるが、その唯一の違いはプライスだ。ラボグロウンダイヤモンドは、同じサイズの天然ダイヤモンドよりもコストが大幅に低く、また特にミレニアル世代とZ世代に対しては環境意識と倫理的感覚に訴えかける。

Ritani

Ritaniのカスタマー サービスマネージャーであるジュリエット・ゴメスは、カップルのリングのダイヤモンド アップグレードを担当している。「元のリングに1ctの天然ダイヤモンドがセットされている場合、現在では、元の1ctの天然ダイヤモンドの価格と同じかそれ以下の価格で3ctsまたは4ctsのラボグロウンダイヤモンドに交換されています。」と彼女は説明する。

Ritaniでは、天然ダイヤモンドを下取りするオプションも提供している。天然ダイヤモンドをラボグロウンダイヤモンドと交換することを選択する顧客もいれば、元の天然ダイヤモンドをペンダントなど別のジュエリーに作り替えることを選択する顧客もいるという。

サンフランシスコを拠点とするラボグロウンダイヤモンドジュエラーである“Ada Diamonds”の共同設立者であるリンジー・ラインスミスも、天然ダイヤモンドからラボグロウンダイヤモンドにアップグレードしているクライアントをよく見ると述べる。

「それだけではなく、2度目の結婚を予定しているクライアントがラボグロウンダイヤモンドを求めて私たちのところに来るケースも大幅に増加しています。彼らは最初の結婚では天然ダイヤモンドを購入したと思いますが、2度目の結婚ではラボグロウンダイヤモンドを選びます。」と彼女は説明する。「ダイヤモンドをアップグレードするお客様の全てが、より大きなサイズのダイヤモンドに交換することだけを意識しているわけではありません。彼らはラボグロウンダイヤモンドの品質にも注目しており、何か洗練された要素を望んでいます。」とラインスミスは付け加えた。

婚約指輪を初めて購入する人々も、ラボグロウンダイヤモンドを好む傾向が強い。2022年7月のデータによると、米国でのラボグロウンダイヤモンドを使用した婚約指輪の販売数は、昨年比で52%増加している。一方で、天然ダイヤモンドを使用した婚約指輪の販売数は昨年比で28%の減少となっている。

「消費者は予算を最大限に活用したいと考えており、予算の最大範囲で、より良いカラーとクラリティを持つ、より大きなダイヤモンドを手に入れたいと考えています。」とダイヤモンド業界のリサーチ企業として有名なエダン・ゴラン・ダイヤモンドリサーチ&データの業界アナリストであり創設者でもあるエダン・ゴランは述べる。

米国で婚約指輪に使用されるラボグロウンダイヤモンドの平均カラットは1.42ctで、価格は約3,800ドルだ。一方で、天然ダイヤモンドの平均カラットは0.81ct、価格は約4,209ドルだとゴランは述べている。「目で見て明らかに異なるサイズと、低価格によるためです。」と彼は説明する。

ラボグロウンダイヤモンドが消費者に受け入れられていることを示すさらなる証拠として、世界最大のジュエリーブランドであるパンドラは先週火曜日、米国とカナダで8月25日にラボグロウンダイヤモンドジュエリーコレクションを発売すると発表している。パンドラ・ブリリアンスと呼ばれるラボグロウンダイヤモンドのコレクションは、33点の商品で構成されている。リング、バングル、ネックレス、イヤリングが含まれており、それぞれがスターリングシルバー、14Kイエローゴールド、14Kホワイトゴールドの金属にVS+のラボグロウンダイヤモンドをセッティングしている。

「ラボグロウンダイヤモンドは、天然ダイヤモンドと同様の美しさですが、より多くの人々へ、より少ない炭素排出量で提供できます。私たちはダイヤモンド市場を拡大し、業界がダイヤモンドによる地球への影響を軽減する基準となる革新的なジュエリーを提供できることを誇りに思っています。」と、パンドラのCEOであるアレクサンダー・ラシックは声明で述べた。

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