天然ダイヤモンド原石の価格推移はここ1年間で上昇傾向にあり、ロシアに対する制裁以降より天然ダイヤモンドの価格は不透明さを増している。NYを拠点とするグローバルダイヤモンド業界アナリストであるPaul Zimniskyのデータから、原石価格の推移を観察したい。
上記の図は2022年5月28日時点での過去1年間のダイヤモンド原石の価格指標推移を表したもので、2月19日にピークに達した後に1ヶ月程度の低下傾向を見せている。しかしその後また原石価格は下支えされており若干上昇の傾向を示している。この6ヶ月では価格指数は12.7%増加している。
この図は、米国によるロシア制裁を3つの段階に区別し、カテゴリー別のダイヤモンド原石の価格指数推移に重ね合わせたものだ。グラフ上のピンクの色が淡い順(左から順)に
「第一次制裁 – 経済制裁」
「第二次制裁 – ロシア産ダイヤモンドの直接輸入禁止」
「第三次制裁 – AlrosaのSDNリスト(特別指定リスト)追加」
となっている。また折れ線グラフは上からそれぞれ
「0.13ct未満のジェムクオリティダイヤモンド」
「0.42ct未満のニアジェムクオリティダイヤモンド」
「0.13ct~9ctの全てのダイヤモンド」
「0.75ct~1.50ctのジェムクオリティダイヤモンド」
(全て原石重量)
となっている。
この図で理解できるのは、第一次制裁、第二次制裁は原石価格に直接的な影響を与えていないものの、第三次制裁のSDNリスト入り以降メレサイズダイヤモンド用の供給不足が発生し、国際ダイヤモンド市場ではこのカテゴリーのダイヤモンドが高騰しているということだ。このカテゴリーは1月末以降と比較して+32%の上昇となっている。これに対して、その他のカテゴリーの価格は1月末との比較では低下となっている。
ロシアに対する制裁で現在最も影響を受けているカテゴリーは小サイズ及びメレサイズのカテゴリーであり、このカテゴリーの価格上昇は全体的な指数の上昇を招いている。またメレサイズの価格緩和の兆しは今のところ見られていない。
コメント