
アメリカ合衆国国際通商裁判所 (United States Court of International Trade)は、ドナルド・トランプ大統領が複数の国に対し一方的に課した追加関税の大部分について、大統領権限を逸脱しており違法であるとの判断を下した。これにより、ダイヤモンドおよび宝飾業界に大きな影響を与えていた関税措置が差し止められることとなった。
3名の裁判官からなるパネルは先週水曜日、大統領は緊急時に関税を課す権限を持つものの、トランプ氏がその発動根拠とした国際緊急経済権限法(IEEPA)は、輸入品に対し包括的な関税を課す権限を大統領に与えるものではないと判示した。むしろ、その権限は米国議会に属すると指摘している。
判決では「世界規模かつ報復的な関税は、国際収支の赤字に対応する際の大統領権限に対し、議会が課した制限に従っていない」とし、「世界規模かつ報復的な関税命令は、関税によって輸入を規制するためにIEEPAが大統領に付与したいかなる権限も超えるものである」と結論付けた。
裁判官パネルはまた、これらの関税の恒久的な停止を命じ、米国政府に対し10日以内にパネルの決定を反映した新たな命令を出すよう指示した。
トランプ氏が最初に関税を発表したのは4月であったが、その後、他国との90日間の交渉期間を設け、大半の関税は一時停止されていた。この関税の脅威はダイヤモンド・宝飾業界に大きな影響を及ぼし、業界の警戒感からダイヤモンドの販売は一時停滞した。鉱山会社はダイヤモンド原石の入札を延期し、宝飾店は仕入れ先からの価格上昇を懸念、一方で関税導入前に注文を急ぐ動きから一時的に販売が急増した業者もいた。多くの業界関係者は関税の影響を懸念しつつも、事業の調整には慎重な姿勢を見せていた。その間、業界団体はダイヤモンドへの適用除外を政府に働きかけるなど、対応に奔走していた。
この判決を受け、トランプ政権は、この問題に関する裁判所の権限に疑問を呈し、控訴する通知を提出した。
ホワイトハウスの声明は、「諸外国による米国への非相互的な扱いが、アメリカの歴史的かつ継続的な貿易赤字を煽ってきた」とし、「これらの赤字は、アメリカの地域社会を疲弊させ、労働者を置き去りにし、我が国の防衛産業基盤を弱体化させる国家緊急事態を生み出してきた。これは裁判所も争わなかった事実である。選挙で選ばれていない裁判官が、国家緊急事態にどう適切に対処するかを決定するべきではない」と主張した。
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