デビアス、フォーエバーマークはルースの扱い方針を変更、小売業者への影響は?

来年2023年よりデビアス、“フォーエバーマーク(FOREVERMARK)“は、ブランドのルース(裸石)ダイヤモンドの配給業務を引き継ぎ、重要な変更として「フォーエバーマークのジュエリーデザインでのみ販売する」ことを小売業者に義務付ける。一部の小売業者やサプライヤーはこの変更に不満を持っているという。JCKオンラインにフォーエバーマークへのインタビューと業者の反応が掲載されている。

フォーエバーマークUSA社長、チャールズ・スタンリーはJCKに以下のように語った。
「今までは、小売業者はフォーエバーダイヤモンドのルースを(フォーエバーマークではない)任意のデザインのジュエリーにセッティングすることができました。その選択肢の中のひとつにフォーエバーマークのデザインがありました。しかし今後、デザインの選択肢はフォーエバーマークの提供するもののみになると言う事です。」

この2023年1月1日から適用される新しい計画は、消費者とのエンゲージを高めたいというブランドの発想に端を発している。

デビアスの最新の市場調査によると、ダイヤモンドジュエリーを購入した人々のうち65%が「ブランドのダイヤモンド」を購入したと認識しており、その比率はミレニアル世代が高いという。

「ブランドのように見え、そして感じるために、フォーエバーダイヤモンドをルースとジュエリー完成品の両方で全ての側面を管理することが我々にとって重要です。」とスタンリーは説明する。

この新しい方針により、フォーエバーマークは全ての顧客接点でブランドの一貫性を実現するとスタンリーは述べる。「これによって、我々がマーケティングでプロモーションする製品(デザイン)と、店頭で入手できるものを一致させることが可能になります。これは他のジュエリーブランドがやっていることと何ら変わりません。ティファニーなどのブランドがやっていることをデビアスダイヤモンドジュエラーでもやるのです。」

この新しいフォーエバーマークの「フルブランドオファー」は、小売店のマージンを維持するのに役立つとスタンリーは言う。「このオファーは小売店に彼ら自身と顧客に対して一貫した価格を提供します。これによってパートナーに厳選した在庫を持ち、そしてルースとデザインの在庫を我々に頼ることができるので効率的になります。」

しかし、ブランドの取扱店は今まで必ずしもデザイン在庫を購入していたわけではなく、またこれによってブランドの取扱方法が根本的に変化すると主張する。

ある業者は匿名を条件に次のように説明した。「フォーエバーマークは今までずっとルース(のみ)の取扱いでした。小売店はデザインジュエリーのために取り扱っていた訳ではありません。」
また、小売商は「フォーエバーマークのデザインは限られており、(全ての消費者の)好みに適していない。」と述べている。

スタンリーはこれに対して「我々のブライダルジュエリーデザインは厳選されていますが、カスタマイズ可能なソリューションです。我々の調査では消費者は圧倒的な種類のデザインから選ぶのを望んでおらず、我々もそうしたいと考えていません。」と説明した。

またフォーエバーマークは現在のデザインラインナップが「一般的な消費者が希望するデザインの99%をカバーしている」と主張する。「重要なこととして、我々は全ての消費者の需要に対応しようと考えていません。ブランドとして、何をやらないかを決めるのかが重要です。」と続けた。また「フォーエバーマークのDNAはダイヤモンドそのものに根付いており、我々のデザインはそれによりダイヤモンドを強調することに焦点を当てています。それは常にデビアスブランドのデザインポリシーの中心となっています。消費者は、自分だけの特別なダイヤモンドとリングを選んだと感じることを望んで要ると我々は認識しています。」

また小売業者は、ジュエラーが長年の付き合いのあるサプライヤーから良い条件を受けるのではないかと心配している。

スタンリーは「過去にない方法でフォーエバーマークとの商談が行われるようになります。価格に関して言うと、我々の提案はフェアで競争力のあるものになり、それが基準になります。」と述べた。

しかし前述の小売業者は、このフォーエバーマーク側の変更が一部の小売業者にとって『我慢の限界』に達する可能性があると言う。彼はフォーエバーマークが名称や人員の変更を含め、今まで何度もビジネスモデルを変更してきたことに言及した。(最近では、フォーエバーマークの営業担当副社長であるクリスティン・ボーソレイユが退職している。)

別の匿名の小売業者は以下のように語っている。
「ラスベガス(JCK)では誰もがそれに対して憤りをあらわにしていました。フォーエバーマークには多くの課題があります。コネチカット(フォーエバーマークUSAの所在地)の誰かが、既に確立された他のサプライヤーよりもダイヤモンドの販売やジュエリーの販売に熟達している可能性はありますか?彼らはそれを効果的に行うスキルを持っていません。」

これらの小売店の反応についてスタンリーは「私たちの計画の論理的な根拠を小売業者に説明すれば、それを理解できると思います。多くの人と同じようにその変化を受け入れ、今後のビジネスにどう適応するか判断したいとが考えるでしょう。我々は、フォーエバーマークが現在進めているビジネスモデルに関してどのように適応するか彼らが最終的に決定することを期待しています。変化を理解するには時間がかかるでしょう。そしてその時間を我々はパートナーに提供しています。年末までこの変更は適用されないので、理解し判断する時間があります。」

ポリッシュダイヤモンドのサプライヤーも、それらがどう機能するかを多くの人が見極めているところだとしながらも不満を感じているという。「フォーエバーマークは我々と小売店の関係性の中間に入ってきます。なぜそうしたいのか分かりません。」と述べた。また他の人間は詳細を待ちながらも「この計画は意味がない」と述べている。

今年6月14日にクライアントに向けた以下のEメールでは、フォーエバーマークが(この変更により)クライアントを失う可能性を認識しているように見える。

「我々は、デビアスとのパートナーシップに関してあなたが下すどのような決定も完全に尊重します。変化に直面して感情が昂る可能性があることを我々は理解していますが、それはあなたがそれを気にかけている為だと思っており、それは良い事です。しかしながら、そのあなたの決定に際して、私が個人的にあなたとの関係性を喜んでおり、その関係が続くことを望んでいることを知っておいて頂きたいと思います。」

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