天然とラボグロウンダイヤモンドの間でバランスを維持する – Robbins Brothers

なぜ米国は過去数年で世界最大のラボグロウンダイヤモンド小売市場にまで成長したのだろうか。マクロ経済レベル、サプライチェーンレベル、消費者の意識レベルなど多くの分析があるが、小売業者はエンドユーザーと直接向き合い、サプライチェーンの末端で重要な市場創造の役割を果たす分野であるため、最も注目されているのは依然として小売業者の姿勢だ。

先日、「天然ダイヤモンドとラボグロウンダイヤモンドのバランス」について、米国の小売店、ロビンスブラザーズ(Robbins Brothers)に関するレポートが発表された。

ロビンスブラザーズはカリフォルニアを拠点とする100年以上の歴史を持つ老舗宝飾店で、自社を「エンゲージメントリング店」と位置付けているように、ブライダルジュエリーに特化した宝飾店だ。現在米国内に14の店舗と、ECも展開している。また同社は2013年からラボグロウンダイヤモンドの取り扱いを開始しており、米国でも最も早くラボグロウンダイヤモンドを導入したジュエリーチェーンの一つとしても知られている。

ロビンスブラザーズのオンラインストアでは、223デザインのエンゲージリング、13デザインのマリッジリングを含む200デザイン以上のラボグロウンダイヤモンドジュエリーが販売されている。また6種類のクラシックなソリティアリングのうち、最低価格は5,495ドルで、1.5ctのオーバルダイヤモンドがセッティングされている。(Webサイトにグレード記載なし)

また同社ではルースダイヤモンド(裸石)からのカスタマイズも提供しており、オンラインでは約2,500点のラボグロウンダイヤモンドと約1,300点の天然ダイヤモンドが確認できた。(価格の記載は無し)

ロビンスブラザーズはラボグロウンダイヤモンドを10年間取り扱ってきた企業として、ラボグロウンダイヤモンドと天然ダイヤモンド、2種類のダイヤモンドのバランスを模索してきたと述べた。

同社副社長のスー・ホープマンは次のように語った。

「私たちの顧客層は非常に幅広いので、ビジネスモデルは他の小売業者とは(おそらく)異なります。私たちは1,000ドルのダイヤモンドも、25万ドルのダイヤモンドも販売しています。私たちは、天然ダイヤモンドビジネスとラボグロウンダイヤモンドビジネスのバランスをとるために、長年にわたって良く取り組んできたと思います。90%以上ラボグロウンダイヤモンドを販売する小売業者と話したこともありますが、私たちがその道を歩んで来なかったのは幸運でした。」

しかし最近ホープマンは、ハイエンド層を惹きつけるはずの天然ダイヤモンドの「声」が小さくなっていることに気づいたという。

「少し前から、人々が天然ダイヤモンドについて話さなくなったことに気づきました。そのため私たちは(天然ダイヤモンドに)倍掛けすることを決めました。天然ダイヤモンドの仕入れに25%多くのコストを費やし、天然ダイヤモンドの販売スタッフを再教育し、天然ダイヤモンド分野での広告をより多く掲載しました。」と彼女は述べる。

「最初の婚約指輪を手に入れている若い世代は、ラボグロウンダイヤモンドがいかに環境に優しいかという情報によって誤解を与えられています。この点について私たちは、天然ダイヤモンドが本当に素晴らしい影響があると信じています。ボツワナで(天然ダイヤモンド産業によって)何が起こったかを見てください。今、私たちは天然ダイヤモンドによる良い影響について話すことに時間を費やしています。」と説明した。

また、ラボグロウンダイヤモンドの価格が近年継続的に下落したことは、天然ダイヤモンドに再びフォーカスするという方向性決定の理由ではないと彼女は強調した。

「私たちは過去10年間もラボグロウンダイヤモンドビジネスに携わっており、ずっとそれを管理してきました。それは過去2年半で加速しており、私たちはこのビジネスに参入したばかりの人々よりもそれを管理する方法を知っています。私たちは昨年よりも多くのラボグロウンダイヤモンドを販売していますが、昨年より多くの天然ダイヤモンドも販売しています。それが私たちが望んでいたことであり、バランスを維持するために両方に参加する必要がある理由です。」と述べた。

また、もう一つ興味深い点がある。10年前にロビンスブラザーズがラボグロウンダイヤモンドの販売を開始したとき、販売員は常に顧客に天然ダイヤモンドを見せることを優先していた。しかしその後ラボグロウンダイヤモンドの人気が高まると、販売員は両方の製品を顧客に推奨するようになった。現在では同社の販売員は天然ダイヤモンドを最初に顧客に紹介するスタイルに戻り、顧客からラボグロウンダイヤモンドについて聞かれたり、または顧客の予算が限られている場合に販売員はラボグロウンダイヤモンドを勧め始めるという。

「私たちはエンゲージメントリング店です」とホープマンは言う。「私たちは、天然ダイヤモンドのロマンスと希少性を信じています。しかし、顧客の好みがそれであれば私たちは顧客にラボグロウンダイヤモンドを販売します。私たちは、顧客にそれぞれの長所と短所を伝え、顧客自身に決めてもらいます。私は消費者に何を望んでいるかを伝えるためにここにいるのではありません。私は消費者が望むものを売るためにここにいます。」と彼女は述べた。

ブライダルジュエリーを専門とする老舗ブランドとして、ロビンスブラザーズがこの「バランスのとれたアプローチ」を選択したのは合理的だと言える。この方向性は顧客層よって決定されており、またブランドの包括性も反映されている。

しかし、さまざまな小売業者(特に一部の新興企業)にとって、このような「バランス戦略」が必ずしも最良の選択であるとは限らない。彼らは自社の顧客層に対して、より特徴的で尖った姿勢を選択することによって、一部のカテゴリーの消費者を強く惹きつけることができるかもしれない。

さまざまな小売業者にとって上記の2つのタイプのビジネスモデルが存在するが、どちらにも独自の理由があり、どちらが正しいかを評価することはできない。それは最終的にはマーケットが決定することだ。

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